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事業承継のはじめの一歩①会社の持続的な発展のために

事業承継のはじめの一歩

127万社の大廃業時代の到来。約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)が損失してしまう。2017年10月6日付、日本経済新聞社に掲載された記事です。これを読んで、何を意味するのか、自分には関係ないと考えた経営者が多いと思います。しかしながら、経済産業省によると、2025年までに70歳を超える中小企業や小規模事業の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人が後継者未定という。これを聞いた現役の社長は、自分ごととして行動する「きっかけ」になります。

経済産業省は、事業承継税制の改正を行い、自社株に関する相続税や贈与税の支払いを猶予する制度を充実させていますが、事業承継のスピードが向上しているとは言えません。

事業承継が進まない理由

何故、事業承継が進まないのか?私が面談した中小企業の経営者は、元気いっぱいで、活力があり、60歳を過ぎてもアクティブに動いているスーパーマンです。現経営者の気持ちは、事業承継は自社にとってはまだまだ先の話と考えていることが現実です。なぜ、まだ先だ、と思っているのか?
社長の想いを因数分解してみます。昨年からのコロナ禍の影響でビジネスモデルを変化せざるを得ないこと。従来の仕事のすすめ方では太刀打ちできなくなる。このようなビジネス環境である為、仕事が忙しくて事業承継が後回しになってしまう。また、事業承継は、何から手をつけたら良いか、わからないと言う実態があります。これは、事業承継の本質を説明する専門家が少ないと考えています。

事業承継は社長交代するだけではない

経営者は、事業承継というのは社長交代をすればよい、と考えている経営者が圧倒的に多いと思います。事業承継を支援するプロの方々は、自社株の評価下げや事業資産の相続税や贈与税対策の支援が中心です。

このように、経営者の事業承継に対するイメージは今忙しい為、後でやろう。士業の方と相談し自社株式を後継者へうまく引き継ぎ、時期がくれば社長の座を渡して終了。そう思われています。

事業承継の本質をお話します。自社株や事業資産を後継者に引き継ぐこと。つまり、資産の承継になります。

この資産の承継と社長交代を行えば、終了ということではありません。この資産の承継と同じくらい重要なことが、経営の承継です。事業承継は、「資産の承継」と「経営の承継」を行うことであり、これは車の両輪という関係です。

資産の承継について

資産の承継は、現経営者にとって分かりやすいですが、経営の承継は伝承しにくくかなり時間がかかります。経営資産は、有形資産と無形資産があります。有形資産は、建屋、車両、機材、材料、仕掛品などです。無形資産は、会社理念、方針、顧客や金融機関との関係。さらに、技術や技能そして販売ノウハウなどがあります。更に社風などの企業文化です。この無形資産の承継が重要です。無形資産を承継するには、かなりの時間を要します。後継者が新社長になってから引継ぐのでなく、社長就任の前から系統立て、実施することが大切です。

経営の承継について

日本は創業100年以上の会社の数は世界一です。意外かも知れませんが、圧倒的一位です。創業100年を超える企業は約33,000社あります。100年以上続いている企業は、社長交代を重ねて、発展·持続させています。事業承継をうまく成功させている証拠です。日本の中小企業は、圧倒的に同族企業が多いことも要因の一つだと思います。

同族企業(中小企業)は、上場企業と違って創業者の伝統を守る意識が強く、短期間の利益よりも中長期的な利益の追求を目指す傾向があります。しかしながら、時代は大きく変わりました。ウィズコロナ、少子高齢化、人口減少、グローバル化など、企業を取りまく環境が劇的に変化しています。時代の変化に対応した、資産の承継と同時に経営の承継を実施するには、計画的にかつスピードを上げて実施することが大切になります。

経営承継で一番大切なことは、企業理念の承継です。経営理念が全社員に浸透しているかどうか。企業理念が企業を支えています。理念は普遍的なものでありますが、変えてはいけない、ということではありません。時代の変化やマーケットニーズの動向に合わせて、修正していきます。それを担うのは後継者です。

事業承継は10年かかると言われている

事業承継を進めるために、まず現経営者は10年後の自分の年齢を認識することです。事業承継は10年かかると言われており、10年後の会社をイメージします。どのようなお客様にどのような商品やサービスを提供し、収益はどうなっているのか、ありたい姿を明確にします。それを実現する為に、いつ、どんなタイミングで社長交代を実施すべきか、決めることです。

具体的な活動を考える前に重要なことは、会社の現状を分析することです。分析ツールとして、SWOT分析をおすすめします。(SWOT分析:スウォット分析 自社の資源である強みと弱み、外部環境の変化として機会と脅威を明らかにして、経営戦略を考えること)

勿論、3ケ年~5ケ年の損益計算書や貸借対照表を分析することは当然ですが、SWOT分析の『会社の強み」と「市場の機会」を明らかにします。そして、今後の進むべき方向性やあるべき姿を明確化します。そして目標を達成する為の活動計画を具現化し、資産の承継と経営の承継は、その活動の核となります。将来のありたい姿を実現する為には、会社を強くすること、つまり会社の磨き上げを行うことになります。キーワードは、人事政策と育成、働き方改革、ビジネスモデルの刷新です。

次回の更新もお楽しみにください!